**「フレイル」**という状態を知っていることによって、一般の方の認識と医療関係者の認識がずれてしまって起こるトラブルを避けることが出来ます。
**「フレイル」**とは、高齢化によっておこる余力の低下、衰えのことを言います。日本語に無理矢理置き換えると「虚弱化」になるでしょうか。
一般の方は体調を崩すと、**元の状態(=元気な状態)**に戻してもらいたいと思って医療機関を受診します。もともと健康である人は、治療や療養によって次第に元の状態にまで回復します。しかし、高齢の人は違った経過を辿ります。
最近では人生100年時代が到来したと言われており、100歳を超えても自立した生活を営んでいる人が多くいらっしゃいます。こういった人たちは、一見すると健康に見えますが、高齢化によって身体の余力自体は低下しており、「フレイル」の状態にあるのです。具体的には、筋力、消化・吸収する機能、代謝機能、認知機能、免疫力など、様々な機能が目に見えないところで衰えています。
高齢で「フレイル」の状態にある人が体調を崩すと、いくら適切な治療や療養をしたとしても、元の状態には戻りません。これまで目に見えていなかった、実は衰えていた身体の状態にまでしか回復しないのです。これを機に、今までの自立生活が維持できなくなって、介護生活へと移行するという方が多く存在しています。
これは医療業界に身を置いている人の中では当たり前の考え方ですが、一般の方は「フレイル」について知りません。医療機関を受診するに当たって望んでいるのは、元の状態に戻ることであって、介護生活が始まることではないのです。医療関係者と一般の方の間でトラブルが起こったり、信頼関係が崩れてしまう原因の一端は、「フレイル」について知っているかどうかにあると言っても過言ではないでしょう。
通院が困難になって訪問診療が介入するようになった方というのは、「フレイル」であることがほとんどです。初診の時点で「フレイル」についての説明をきちんと行って、認識の齟齬を無くしておくことが、信頼関係を築き、継続していくためには重要と言えるでしょう。
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